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エコハウスのウソ 外皮性能と暖冷房の設計計画

先日、いつも講習に参加して勉強させてもらっている新住協 中部東海支部長の金子建築工業さん主催の省エネ講習会「外皮性能と暖冷房の設計計画」をご案内いただいたので、岐阜県恵那市まで拝聴しに行ってまいりました!

今回の講習は講師が豪華で、
新住協代表理事 室蘭工業大学名誉教授 鎌田紀彦氏
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻准教授 前真之氏という、建築業界で省エネや温熱関係について勉強している人は必ず知っているような方です。

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鎌田先生の講習は新住協の関西支部(地区が違うのに参加させてもらっています)で2、3度お聞きしたことがあり、今回の内容も昨年の講習の内容が主でした。

以前は内容を聞きながら理解することで必死でしたが、今回は復習のような感覚で聞くことが出来、内容がより理解出来て良かったです。

鎌田先生はQ1.0住宅(キューワンじゅうたく)という高断熱住宅を提唱されています。
Q1.0住宅とは詳しくはこちらを参照ください。
乱暴に端折って説明すると、次世代省エネ基準の半分以下のエネルギーで暖房を行える基準をクリアした建物です。

講習内容は理論的な内容だけではなく、実際にQ1.0住宅を如何に費用を抑えて建築をするかをという私たちのような実務者に有益な情報をたくさん頂けます
施工する際の納まりや施工方法、なるべくコストをかけない方法やビスの種類まで(!)提案していただいています。今後も参考にしていきたいと思います。

 

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次に前先生は東京大学の准教授であり、非常に分かりやすい省エネ建築に関する著書も多数あります。

以前PassivehouseJapanで講習を聞いた松尾和也氏(設計者でありながら全国講習に駆け回る超有名な方)が「理論に関しておそらくこの本を超える内容は書けない」と言う程の内容である「エコハウスのウソ」は実務者であれば必ず読まなければいけない本だと思います。

出来ればこれから住まいを建てられる方も読んでみると、住まいに対する考えがガラッと変わってしまうかもしれません。それ程濃い良い内容です!

 

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これです。お貸します。

 

今回講演を聞くのは初めてだったので、とても楽しみにしていました。

前さんと言えば高性能なサーモグラフィー画像で物件の中身を丸裸(温熱に関して)にしてしまうのですが、その調査報告やPMV測定器での調査など膨大に実測しているデータを元に様々な物件の状況を解説していただきました。

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話しもテンポ良く面白く、途中で「これは絶対にSNSに載せないでくださいね、私のクビが飛ぶので」など、かなりキワドイ話題にまで及びました(笑)

 

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前先生のサーモカメラはかなり高額で高性能なモノですが、今はスマホに装着して断熱欠損などの確認であれば充分な画質のサーモ画像が簡単に取れてしまう時代です。(3万円ちょっとぐらい)

 

これは私の勝手な予想ですが、今後は更に高性能な物や価格の安い物が普及し、その内スマホで標準的にサーモ画像が撮れる機能が付く、なんて未来も意外と直ぐにやってくるかもしれません。

そうなると「断熱なんて何でも良いから入れときゃ良いんだ」的な考えで建築を行っている業者さんは大変な目に合う未来がやってくると思います。

何せマイホームを考えている一般消費者の方が、ポケットから取り出したサーモカメラ(スマホ)で実際に建物の断熱性を目で見てチェック出来てしまうんですから…。「この会社の建築は断熱欠損だらけだ」「この床や天井の表面温度では快適に暮らせない」なんてことが一目瞭然で見えてしまう時代です。外からだけでも建物から熱が漏れているかどうかがハッキリ見えます。

 

それだけでは無く、今までに建てた住まいもサーモカメラが普及すれば確認されるのでは無いでしょうか。
「高断熱♪と謳ってた割には全然じゃないか!!どういうことだ!!!」
何てことが問題になる未来がやってくるのではないでしょうか…。いや、むしろ早く来るべきなのかもしれません。

見えなかった部分が見える時代になることで、建築会社側がきちんとやるべきことをやらないと存続出来ない状況になっていくと思います。(悲しい考え方ですが)

 

前先生が

「普通は使う(住む)人が【良い・悪い】を判断するはずなのに、建築業界は何故か【これが良いんです!こうするのが良いんです!】と業者側が決めるよく分からない業界」と仰っていました。

これは構造塾の佐藤先生が言われることと全く同じ内容だと思いました。

(他にも温熱環境を軽んじる建築関係者へ向けての中々過激な発言があり書き出してみたのですが、棘が凄いので自粛します…。笑)

 

 

夢のマイホームを建てる際に「家中どこでも寒さを我慢せず快適に過ごせて、月々の電気代も安くしませんか?」と聞かれてそんなの嫌だ!と言う人っているんでしょうか。(生活する上での二酸化炭素の排出を抑え地球環境にも貢献します)
余程特殊な要望のある建物で無ければ、どんな要望で建てられる住まいでも快適さは両立出来るはずです。
あの建築家の堀部安嗣氏も新住協の工務店さんから断熱の勉強をして実践している時代ですし…。

 

家の中で寒さを我慢せず快適に、毎年この季節ニュースで取り上げられるヒートショック(交通事故の3~4倍の死者数)を防ぐ住まいの温熱、快適さは家族の健康の為です!

 

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